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家族の庭

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先月イギリス映画『家族の庭』を観てきました。
監督&脚本は社会派マイク・リー。
10年くらい前に『秘密と嘘』を観て以来この監督の大ファンに。

どの作品も"家族のつながり"がテーマの根底にあって、母と子の確執とか
人種のこととか労働階級家庭のやるせなさとか真っ正面から家族の暗部を
浮き彫りにしつつ再生のカタチを描いている方。

今回は黄昏時を迎えようとする仲のよい熟年夫婦とその家族や友人たちとの
交流が夫婦が借りているロンドン郊外の市民菜園の四季を織り交ぜながら
表現されていました。
リー監督作品にはいわゆる旬の俳優さんたちは一切出てきません。
皆さん、超演技派。だからそのリアリティったらものすごいです。

愛に満ちた熟年夫婦の穏やかな会話にほっこりしつつも
その夫婦宅に集う孤独を抱えた友人たちの哀しみや切なさが
痛くて痛くてしかたなかったり、家族に愛を上手く表現したいのに八つ当たり
するしかできない身内の面々にやるせなさと切なさを感じたりーもはや演技とは
思えぬ生々しい場面の数々に自分の感情もいつのまにか同化しておりました・・・。



そんなリアルな人間模様がとても緻密に描かれているのですが
わたしが一番心に残ったのはやはり物語の中心となる夫婦の会話。

長年連れ添っている妻とキッチンでランチを準備をしつつふとした瞬間、夫が
「君はいくつになってもこのままで本当にすばらしいよ。」と言って
やわらかく微笑み妻も静かにその言葉をかみしめながら微笑み返すー。

妻はもう60歳近いかなあ。すごい美貌とか若々しいという形容とは真逆(失礼!)で
老いをちゃんと受け入れ無理せずありのままに歳を重ねた女性。
そうした飾らない素のままの彼女を文字どおり100%受け入れ、彼女の本質に
何十年たっても惹かれ続けている夫・・・すてきすぎるっ!
いつだって自分のままでいていいんだーそう思えるパートナーシップ、最高です。

二人が過ごすことの多いキッチンも夫婦の象徴みたく使い込まれて味わい深くて
すごくあったかい空間。一緒にごはんをつくる。二人で、あるいは大好きな
ひとたちと食卓を囲む。
そうした時間が多ければ多いほど人生は豊かで愛にあふれる。
ああ。これぞ揺るぎない本物の愛の形・・・と思ってしまったのでした。

孤独すぎて痛いくらいの女性の涙顔もある意味忘れられないのだけれど
単にかわいそうとかなんとかしてあげなくちゃ、と甘く寄り添うだけじゃなく
あえて自立を促すような境界線をもったやさしさ。これぞ大人の人間関係。
本当の自分に向き合うのって自分でしかできないことだし自分さえオープンで
いれば世界は決して闇ばかりじゃない。。。光をみることもできるよね。

映画の終わり方はたぶん人によってスッキリしない〜と思うのかもしれないけど
観る人にあえて委ねられているところもリー監督らしいなあ。

見せかけの華やかさやアクションにばかり焦点の当たる映画に食傷気味の方、
ぜひ本物の人生劇場ご覧あれ!
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by iegoccochi | 2011-12-16 11:36 | 映画の時間
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